暗闇に敷き詰めたオレンジ/皆月 零胤
 

その音と
暗闇に敷き詰めた
オレンジが
彩やかすぎて
眠れぬままの意識の中
 失われた愛のカタチが
 蒸発して
 テーブルの上に映す
 想い出だけが
 なぜか
 甘い


空っぽに見える
コーヒーカップの
僕のほうには まだ
それが残っていて
あなたのほうのカップさえ
今は上手く片付けられずに
テーブルの上で ふたつ
まるでふたりが並んでいるよう

窓の外から差す光に
空を見上げるコーヒーカップ
今はテーブルの上からだけ
ふたりで眺めることができる朝焼け

隙間だらけのこころで
手遅れの空に見る
隙間なく敷き詰められたオレンジ
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