The Muddy marines/詩集ただよう
 
別の学校になった。僕は近くの公立高校に無事に合格した。塾にほとんど行ってなかった僕に友達なんかいやしなかった。学校が終わると、帰れるのがとても嬉しかった。すぐに友達の家に行くのが日課になっていた。あの時期の夕陽がくれた匂いは今も僕の一部だ。
高校生にもなると、みんな恋人を作り、デートをし、キスをし、次々にセックスを経験していった。そんなのはとても自然なことだ。高校に入ったばかりのその頃、好きだった子がセックスをしたのを聞いたとき、たまらない気持ちになった。話したことはほとんどなかった。本当に好きだったかなんて、今の僕にもそのときの僕にも、もうわからない。ただただ不思議な哀しさを感じた。

いつか羊水の中にいた頃の思い出を手のひらですくえる人は、どれだけ大きなグラスを持っているんだろう。僕のグラスは泥で溢れてしまって、掻き混ぜたってもう水が濁ることすらない。またいつか、綺麗なグラスにひびが入るだけ。そこから、土へ溢れかえる。ただそれだけのこと。大したことはない。

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