終わりの夏/二瀬
あなたとのあいだに、にじむ
きっとこれから
わたしはわたしの
朝を生む
いっせいに放たれる
あなたの知らない秋を
わたしはうたう
あなたはわたしを知らないといった
すべてのあしたが
隣り合う夜のあいだに
あますところなく消えていくのですか
しずかに私が問いをささやいた時
あなたはいまも、昔と一糸変わらぬ姿で
きいている
まるで枯れ木のように、空洞を身ごもっては
ひとつ、
またひとつ、
眼下に透明な花ばかりが咲きほこり
夜の窓辺に
終わりの夏が、立っていた
戻る 編 削 Point(11)