「存在の彼方へ」を読んでみる/もぐもぐ
 
。個人の目から、個人の生き方の観点から社会を判じる場合には、その思想は、多かれ少なかれある程度の宗教性を帯びることになる。また、レヴィナス自身、ユダヤ教神学の手ほどきを受けたこともあったようなので、半ば自然と宗教的な側面からの思考が入り混じっているようにも思われる。

前書き部分に引用した、「献身」や「受苦」と言った言葉も、宗教的な言辞を思わせる。前書きの最後にも、このような言葉がある。
「いずれにせよ、存在に感染せざる神の声を聴くこと、それは、形而上学、存在-神学のうちで忘却されたとみなされている存在をこの忘却から引き出すことと同様に重要で、かつそれと同様に脆い人間の可能性のひとつなのであ
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