「存在の彼方へ」を読んでみる/もぐもぐ
 
私が愛読している本の一つに、フランスの哲学者エマニュエル・レヴィナスの「存在の彼方へ」という本(講談社学術文庫、合田正人訳。1999年)がある。

かなり異様な文体で書かれた著作で、明確な言葉の定義もなしに不意に断言調の叙述が反復的に積み重ねられて、400ページ近くにも渡る論述になっている。同じようなことが違う主題の下、複数回顔を出す上、それぞれの主題が極端に密接に重なり合っているので、その理解は素人には困難を極める感じである。
訳者あとがきの解説によると、文自体も「残響の語り」「バロック的」とも形容された異様な叙述であるらしく、また内容として結論の不可能性を強調していることもあって、「砂嵐
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