大地がみている/砂木
紙に書く言葉を選び
心の住む所を明かす
季節の中 暦に書ききれない
熱と冷気がある
何度も歩いた生家前の道
しだいにその回数が追いつく
婚家前の道
道すがら挨拶をかわした人々
登校を見送った子達も所帯を持ち
嫁いだばかりの頃元気だった人々も
だんだんと 過ぎ去っていった
結婚指輪をしなければ後ろめたくて
赤く痒くなるのをこらえていた
今は我慢しない はずしても大丈夫
婚約指輪と共に タンスの奥にしまってある
なれない土地で生きていく決意は
結婚をしたい一心からであっただろうか
夫の家族との同居は やりきれない事もあった
味つけから 水から 洗い方
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