アクアマリン/フユキヱリカ
わたしの肌に刻み込むように
やわらかく噛んで
黒い炎のように獰猛な
体中に降る熱い雨が
過ぎるのを待った
そうしてわたしは
あなたのもの、になったのでしょう
波打際で転がる貝のように
ただ身を預けていた
(天国ってどこにあるの)
(だれもしらない)
かみさまが、
わたしの
肺の上に骨を埋め
白い鳴り砂のうえに
裸身のまま
打ち上げられて
このまま、泡になってしまいたい
(大丈夫、かなしまないで)
ひかりの飛沫となって
そらにのぼって
あなたを見守るの、
ずっと
なぜふたりでねむる
よるはあったかいの
(こんなにも、あなたが愛しい)
冷たい春の海にまた
星が流れ落ちていく
いたずらにほどけた
指先を、また絡めて
あわい夢をみていた
*
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