アクアマリン/フユキヱリカ
 
 
なぜふたりでねむる
よるはあったかいの

黄金色のお月さまが
くちどけするように
やわらかく滲んでは
ひとつ、星が流れた


ああ白い
横たわるわたしの
鳩尾のしたに耳をよせ
あなたといえば
汗ばんだ肌を
何度も鼻でくすぐる

おかしいね、そこには
なにもいないというのに
乳房を捜す子猫のように
 きみは愛されるために、うまれた
そう何度もささやく

てのひらで波打際を削る
わたしの奥に流し込む、かのように


よるの底は、ほの暗い
雨垂れから次第に
怒声に飲み込まれる
あとの、また静寂

粗削りな横顔は
少年のそれに還って

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