回覧車?/ブライアン
 
 港は、夕暮れの薄いピンクに覆われていた。人の往来はない。寂しさが漂っていた。一時間に一本しかないバスが、つい今しがた出てしまった。倉庫が立ち並ぶ港に一人残された。営業用の道具を詰め込んだ旅行カバンが重い。肩に食い込んで、痛い。バス停には座る所もなかった。ゆっくりと日が暮れるのを、立ったまま眺めていた。

 高松の港には、大きな本屋さんがあった。大手チェーンの総本店だった。だが、そこは人通りが少なく、寂しいところだった。本屋さんにはお客さんがいなかった。レジに一人二人の店員が、明るく照らされた店内に立っているばかりだった。立ち並ぶ本棚。ぎっしり包め込まれた書籍。本屋と言うよりは図書館のようだっ
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