君に/野狐禅
 
人を愛す
ことが出来る
人間は、
人の
痛みを
誰よりも
知っている

だから、
傷ついたことを
卑下する
必要は無い
ただ、淡々と
誇ればよい

傷口は
治ることを
あきらめなければ
どこよりも
強くなる

立て
歩け

歌える者は
歌えばよい
歌えない
者のことを
思いながら

躍れる者は
躍ればよい
躍れない者の
心を
その両肩に乗せ

歩めるものは
歩め
笑えるものは
笑え
愛せるものは
愛せ

語れるものは
見るものは
怒れるものは
詠めるものは

出来ない
もののために

いつか
立てなくなる
笑えなくなる
歌えなくなる
としても

その傍らで
自らの
望むことを
希望を
描いてくれる
誰かが

必ず
立っている
必ず
立っている
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