八月の絶唱/飛鳥 彰
 
ろに


陽をいだき湾岸走る高速の
道も焼け焦げ
たそがれ迫る

そぞろあるき夏も楽しや
百日紅
今日見る君はなんとうるはし


うつし世にかくもうるはしき
花あるか酒はあらざれど
君に酔う我


まだらなる君が肌えの色白く
葉もすずやかに
夏をことほぐ


眼に白く遠く見ゆるのは
湾岸の高速道路
天地をわかつ


今朝もまた
神戸の街をモノレール
数多の劇を乗せて走り去る


夏の朝
青木の町の公園にひとり見ており
不思議なものを


大学の構内の木々
いや高く夏空埋めて
みどり葉繁る


カサコソと踏めば音する
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