八月の絶唱/飛鳥 彰
ゆく夏の過ぎさるままに
ひとはみな花火に酔ひて
我を忘るる
知らざるや
襟足に吹く風見ては
花火のあとに夏の終わると
狂い咲く
夏の夜空に花嵐
散らしてすぎる時のゆくまま
短歌 「空中回廊」
夏来ぬと汗を拭ひて
空あおぐ今朝のしじまに
夾竹桃立てり
たわわなる
神戸に珍し青りんご
見つけし歓び望郷のうた
湾岸の
空中回廊まぶしけれ
夏を貫くひと筋の道
早乙女の笑みを思わせ
サルスベリ
夏空を抱く花の腕かな
係留の船はしずかに
ならびおり
夏の朝ゆく我はそぞろに
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