八月の絶唱/飛鳥 彰
 



久方に会えばなつかし
語らいを笑顔につつみ
盆をたのしむ


去りがたき里を離れて
夜はあけぬ
疲れを癒すわが旅枕



短歌 「お夏清十郎悲恋物語」


しきたりを破らんとして
駆け落ちをはかりたれども
叶わぬ恋路よ


清十郎
悲しき濡れ衣着せられて
罪を背負ひて いのちを終わる


悲しくも刑死を知らぬお夏独り
求めるほどに
こころ狂ひて


かくほどに一途に求める
恋心 引き離されたる
うつし世あわれ


空蝉の鳴くがごとくに
狂い咲く
お夏かなしや悲恋の果てに



短歌 「花火」

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