八月の絶唱/飛鳥 彰
巧みなる
手織り職人のなせるごと
レースの花の不思議さうまる
八月の夜に咲きたる
カラスウリ
レース模様の白き花なり
月見草に
似たる花とて うるわしの
夜に咲きたるはカラスウリの花
カラスウリ真昼にしぼみ
夜に咲く
恋する人のショールのごとくに
いまに咲く
此処に咲けよと祈れるは
愛し子はぐくむ母のごとくに
夢のごとく
ついに咲きたるカラスウリ
レース模様の葉月の花は
夏風の衣の下に生まれたる
君は詩人(うたびと)
旋風(かぜ)を起こせよ
誕生(うまれ)たり
終戦記念をきざむ日に
産湯のな
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