八月の絶唱/飛鳥 彰
 
びや)飛び出す


年経るといまはむかしの
語り草 悲恋も花の
散るが如くに


わが胸に轟くものはふたつあり
海潮音と
詩聖の言霊(ことだま)


とこしえに宇宙(そら)の海ゆく
航海者(たびびと)は
他者にあらずに地球(ほし)に住む我


睡蓮は
モネならずとも頌(たた)えなん
水面(みなも)にひらく孔雀のごとし


君や知る
水面に顔をつきだして
光を放つのは 睡蓮の花


円き葉を水にうかべて
咲く花は いとも可憐な
睡蓮なるかな


いまもまた思い描くのは
睡蓮の水面にうかぶ
黄金(きん)のたそがれ
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