八月の絶唱/飛鳥 彰
そそぐ
木洩れ日いとしクサレダマあり
さわやかな風の中なる
ヤブジラミ
白い花こそ道を照らせり
みちすがらコウリンカあり
歩をとどむ
オレンジ帯びし長舌の花
ましろなる壁もうるわし
高原のヒュッテにつどいたる
夏のたびびと
ロッジへの道のなかばに
夕暮れて赤岳もゆる
木の間がくれに
ロッジ打つ烈しき雨と
落雷に 時空は裂けて
残響さわがし
香もつよき
ロッジの前にリョウブあり
木肌の色に虫らさそわれ
美鈴池
蒼穹(そら)の碧さを映しけり
木々のかなたに八ヶ岳見ゆる
クサフジの
青紫のグラ
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