風/
明楽
ジ ジジジ ジジ と
壊れた発条のような音が聞こえる
ああ 夏を謳歌した者
命をくしけずる風に中てられたのだろう
もう次の時間は
始まってしまった
それぞれの季節
その節目には
命をくしけずる風が吹く
そうして自然は
逝き遅れたものたちを
静かに還してやるのだ
そうしないと自然に
終われない者たちもいるから
しぃんと蒼く深い
哀しみをたたえた慈悲のこころで
風は吹くのだ
やさしい息吹がほほをなでゆき
そらり と
発条を止まらせた
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