マリオネット/星月冬灯
 

 私はマリオネット

 自由のないマリオネット

 細い  細い

 糸に繋がれて

 ご主人様の言いなりに

 人々を笑わすために

 創り出された幻の命


 心臓なんてない筈なのに

 涙なんてない筈なのに

 なぜこの心は

 痛むのだろう


 今日も私は観衆の中で

 ピエロのように笑われる


 ただ笑われるためだけに

 生まれてきた紛い物の命


 ご主人様の手に踊らされて

 私は今夜も踊りたくない

 ダンスを踊る


 私の顔は涙も流せない

 能面だから

 きっと誰も気付かない
[次のページ]
戻る   Point(2)