やさしいさんすうに殺される。/ki
 
よって同意してくれるけど、
違うそんなんじゃないんだよ
でも、すきだよ、
わたし、はじめてなの、やさひくして、
カバンの中でやさしいさんすうがごとりと
生首が落ちるみたいな音をたてて
死ぬから、私は怖くていつだって耳をふさぐ
やさしくなんかない、
向こうで人が怒鳴ってる
のを私はいつかの海を透かした瞳で見ていた
ざばーん
ざばーん
と波音は規則正しく
声は途切れ途切れで
貝殻で足を切る
ペットボトルの中に
何か入ってないか
ひかり
ちかり
見えない
ばちんと
花火が頬ではじけて
海が目ぇからあふれ出て
冷たい風が頬にあたって

やさしいさんすうがたくさんのゴミと一緒に燃える
何も割り切れないんだ、と私は。
夏が終わり、
どんな顔して、あなたの顔を見れば良いのかわからない。
恋した中学生みたいだ、

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