夏の終わりに/
亜樹
そこいら中からブラームスの音がするよ
陽炎がのたうように
そこいら中からブラームスの音がするよ
深淵を歩くように
枯れ果てた向日葵の間を
風が吹きぬけ
小さな竹林の
静寂が流される
その合間に
真っ赤な彼岸花
こうやとんぼは
ひらひらと落ちる
そこいら中からブラームスの音がするよ
目を刺すような光は薄れ
そこいら中からブラームスの音がするよ
拒絶するような影は掠れ
今が最期と鳴き叫ぶ
閃光のような
夏の声がするよ
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