ザ・コールド・アトモスフィア/雨を乞う
加害者だらけのこんな夜には、からからに息絶えた蝉の気分で夏は続くのだ。喪服の人影に懐かしい匂いと粉々になった灰にバランスを取った、汗ばんだまま笑っていた。会いたいと思ったら負け、僕の完敗。三番線発の急行電車に飛び乗ってあの人の生活を飛び越えていく。走れ、速く。迷妄主義者はブルーフィルムに見とれて明日のワルツに耳を貸さない。泣いて見せても意味がないなら、僕は白い鍵盤だけを追ってAから始まる眠りを3等分にして、いいかい?
殺してやるとも呪ってやるとも敢えて言わなかったのは、出処のない夢の端を持って踊る君が怖ろしく美しい生命体だったからです。眩い湿度にしとどに濡れて張り付いたリネンのスカーフを踏み締めた僕は失速などしない。夜を容易く越える君の月を見つめていたいよ、残念だ!僕の金星が宇宙の隅で鏡のように天国と地獄を照らす、うその光だと大いに踏み躙ってくれ。涎を垂らして、誑かした猥雑な蛇と鉈、ぐしゃぐしゃにした手紙にこんなことを書きたかったんじゃないよ。甘露を携えた瓜を齧って空腹を満たせ、頬を撃つ雷鳴は神様の裏切り!
戻る 編 削 Point(1)