Coldbark/KETIPA
に巣食い
不整合は内側から広がってゆく
排ガス粒子と電波と情報が飛び交う
からからに渇いた風が吹き抜ける
鋭いノイズがぎいぎいと街に響く
弾かれた不適応者の叫びが聞こえる
汚れていく中心都市
欠落し始めた末梢神経
中枢に小さな亀裂が入り
原子核が錆びつき動かなくなる
侵食が気付かぬところで進行して
中心構造の崩壊をもたらし
脆弱な有機物の歯車を分解して
炭素と水とに還元してゆく
骨格だけが残った建造物の亡骸
もつれて絡まった黒い電線
廃墟になった都市からの無言の発信
冷え切った不適応者の叫びが聞こえる
やがて 風化した都市の地面の上に
次なる知的生物が降り立つ
昔滅びた超技術都市の有機物の塊を
彼らはエネルギー源として手に入れる
化石燃料になった先代の失敗は
また繰り返されるかもしれない
しかし彼らは逃げられない
知性を持ったものの宿命から
荒れた地表に潤いが戻る
新たな建築物が湿った大地に建てられる
歯車に油が塗られて回りだす
第二次文明の始まりの鐘は
新都市の中に鳴り響いた
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