8月の涙/yangjah
 

ものがたりを
人づてに読ませてもらった

風が通り抜けるものがたり
メディアが伝えるよりも
もっと軽やかな空気が包み込む
土地なのだろうと想像する


8月はきつい
大きな戦争が残した歴史
空気の厚みがのしかかる

重さがのしかかるからこそ
山へ
海へ
と行きたくなる

今年は毎日号泣する分
山へ海へと
ひんぱんに
足を運ぶ


人を殺せと追い込まれた時
自分のいのちと引き換えにでも
人としての尊厳を守る
つよさを信じたい

いや違う
中勘助のウサギの話みたいに
自分のいのちをすすんで
他に捧げるのは
何よりの快楽なのかもしれない
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