雨が降るとき、きみは/Utakata
 


1.

今までに
無くしたものごとをひとつずつ
丁寧に数え上げて見せては
笑い

今まさに
指先からほろほろと零れ
落ちた
それを
見送っては
泣く

かなしく
なれるようなすきまが
なければ
かなしくならなくていい
はずだった
のに



2.

耳元と唇のどちらに
くちづければいいのかを
知らないまま
互いを見つめることしか
できない
ままに

世界中の窓硝子が
流す涙に
貼り付けた
てのひらに絡みつく光
肘を伝って流れ
落ちるのを
他人事のように聞いた



3.

雨雲が
壊れた地平線から
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