ことのは/ さくら
 
からからと 
言葉は生まれ 
ぐんぐんと 
手足が伸びて 
我が身の一部と気づく前に 
可憐にはじけ とぶ 
やわらかな旋律は ことのは 
彼女の心に慕う ことのは 
2本の曲線は音階となり 
宙を舞う 
軽やかな 空飛ぶ 
さかなのように 
口を開けては閉めるの 
いつも繰り返し 
すべてを飲み込もうとし 
またやめてしまう 
こんなにも  
ときを弄ばす 
夜ならと 
散らし乱れた 
言の葉を 
無造作に並べて 
指でなぞって 
舐めてみる 
艶やかに色付いた唇は 
かすかな微熱に触れ 
暖かくなった息吹が 
さらに 唇を赤に染めてゆく
小さな おさなごの体温は 
まことの言霊を運ぶあかし 
大きな 私たちの涙は 
まことの体温を教える宝石 
言の葉  
ハラハラ 
空を飛ぶ 
見えても、 
見えなくても 
温度はいまだ 
陽だまりの中 
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