(無題)/キキ
ぽつりぽつりと
往く道のことを話している
どこから眠りがはじまるのだろうかと
うわのそらで
言葉はすべて音楽
明日の話はどれもおなじ
空耳みたいに思っている
声をあらげずに
膝をかかえたりせず
毎日植物に水を遣り
これは夢のつづきではない
あなたを抱きしめる
温もりよりもだいじなことがある
麦畑にそよぐ風
ころころころがる星たちが手を振っている
風は南からやってくるのか
星は東からかがやくのかと
これは泣いた
あなたのあしあとだと
ふいに立ちどまる
スカートのすそに影が染みついて
振り払えない
片隅へ
もう追いやらないでわたしを
わたしはけっして泣かないが
[グループ]
戻る 編 削 Point(1)