都会の人/小川 葉
 
 
なんていうんだろうか
都会の人は
標準語で
その様式も
振る舞いも
計算されたように
抜け目のない
魂のない
肉体のない誰かが
誰かによって
話してるようだ

時には
やさしく笑い
時には怒りをあらわし
涙する
その後に
立ち直るのだけれども
その一連の出来事が
時を舞台にした
演劇のように
あるいはロボットか
誰かの
あやつり人形かと
そんなふうに思うことがある

なんていうんだろうか
と故郷の言葉で
なんていうんだろうか
と考えてしまうほど
ここの暮らしには慣れたはずなのに

なんていうんだろうか
自分も自分をそんなふうに
演じてるとしたら
自分もあるいはロボットか
誰かの
あやつり人形かと
そんなふうに思うことがある
 
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