「窓の外の嵐」/広川 孝治
唸る風音に窓の外を見つめる
街路樹がたわむ
電柱がしなる
もはや眼下の道路を通るものは無い
雨が小さな礫(つぶて)となって窓を虐げ
さらに風が巨大な拳(こぶし)となり窓を打ち叩く
際限なく繰り返される自然の暴力に
僕はただ
黙して立つのみ
時折聞こえる
遠くからの音
ガラスの割れる音?
瓦が飛んで砕けた?
狂ったようにないていた犬の声もやんでいる
音を奏でるは空気と水滴
暴れ周り飛び回り
僕はただ黙して立つのみ
待つしかない
待てばやがて彼らも
狂乱から返り
いつもの姿を取り戻すだろう
そして日常に戻るのだ
何事も無かったかのように
きっと、あの日の彼女のように・・
僕はただ黙して立つ
待てばいい
待てば戻る
今にも割れそうなほどたわむ窓の前で
ただ黙して立つ・・
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