手紙を出しに/二瀬
 
埃のように浮かんでいる
幾多ものかなしさを
君の代わりに受け取ります

郵便受けにはそんな毎日以外は
何も配達されない代わりに
仰ぎ見た夜空には
少なくとも名前を呼べる者達が
いくつか

封を切られもしない多くの約束が
まだ自己犠牲も知らないまあるい手をふっている
郵便受けは、果たされもしない宿命を抱え続け、
増え続けたさようならの後ろ姿が
どれも区別出来なくなるまで投函される
その数の多さがやさしい人の証さ
ただそう呟いていた

犯人は少女で
いつもこれが最後と手紙を綴っては
愛よ、平和よ、
鴨を撃つ銃声のような死相に先立つ悲しい物音、
に頭を踏み荒ら
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