急な坂/tomtom_poem
 
急な坂道を
老婆がひとり
のぼってゆく
過去からの滑り台を
逆にのぼっていく
小高い丘の先は見えない
赤いものに追いこされても
老婆はいつまでも歩いてゆく
後ろ姿しか見えないので
どんな顔をして
どんな思いを抱いて
どこに行こうとしているのか
わからない

老婆ののぼりきるであろう
頂には
一本の
樹齢数十年の
さくらの木が
今年の秋も
花を咲かせようとしていること
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