傷口/小川 葉
 
 
沈黙に耐えられず
埋め尽くすからだろう
言葉で

たったひとこと
言えたなら
それだけでよかった

傷つけようのない
言葉と言葉が
塞ぎかけた
傷口を開いてしまう

包帯で巻いた
その奥で
傷口が
口になってしまう

本当の口は
かさぶたになって
閉じてるというのに
 
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