傷口/
小川 葉
沈黙に耐えられず
埋め尽くすからだろう
言葉で
たったひとこと
言えたなら
それだけでよかった
傷つけようのない
言葉と言葉が
塞ぎかけた
傷口を開いてしまう
包帯で巻いた
その奥で
傷口が
口になってしまう
本当の口は
かさぶたになって
閉じてるというのに
戻る
編
削
Point
(2)