改版/小川 葉
 
 
演じることでしか
存在をゆるされない
かなしみは
命に及ぶ

遠いよろこびの
記憶のはてで
幻想たちが死に絶える

たそがれる
朝日を見るように
地平線に背をむけて
くったくもなく
笑い続ける

そうしてやがて
朽ちてゆく
かつてよりもあきらかに
体感的な
未知の速度で
改版されてゆく
 
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