食いしんぼうになってやる/ふもと 鈴
りを黙って除く
シャッターの閉まった店の奥にずらり無言で暗いクダモノたちよ
地下鉄のホーム脇に捨てられたぺしゃんこりんごヨーグルト
ドーナツをつかんだ手からほろほろと落ちる衣に声ふりかかる
ゴムに似たオムレツフォークで叩き出し悪追い払うホテルの朝食
珈琲の脇に立ちて朝覗く目の中太陽二つたくわえ
女の子と認めてくれた彼の手に小さくなった茶のペットボトル
チョコレート包み紙を開けながら哀しみみんな出て行け早く
いかがわしくまやかしみたいチューハイの開ける音に騒ぐ憂鬱
好きだから飴玉ひとつ手にのせて食べる間進む回想列車
重層の甘い洋菓子崩すから
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