小舟の女/星月冬灯
 

 私を忘れて下さい


 私は貴方の望む女には

 なれない


 貴方のことはとても

 深く深く愛している

 けれども


 ごめんなさいね


 今はそれだけしか

 言えないけど


 わかって欲しいなんて

 我が侭は言わない

 けれど

 これだけは知って欲しいの


 私は決して

 港にはなれない


 まるでこの身は

 小さな小さな

 小舟

 波に揺られながら

 風の吹くままに

 静かにたゆたって

 いるだけ


 岸に着きそうに

 なったら

 
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