部屋/
小川 葉
鏡にうつる
自分を見てる
ありもしない
本を読んで
ふすまが
開く音がして
慌てて
本を閉じる
それでも
気づくことなく
人は次の
ふすまから出ていく
少し
曇りはじめた鏡に
存在という
文字を書いてみる
するとまたすぐに
ふすまが開いてしまう
わたしの存在に
気づかないで
この部屋は
わたしがいても
いなくても
永久に
立ち入り禁止です
また部屋が
しゃべってる
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