占い師/星月冬灯
 
何をせよというのか

 私に一体この世でどうしろというのか


 迷いは心の蟠(わだかま)りとなり

 渦巻いているというのに


 ああ

 今日も私は

 この選ばれた口から

 己(おの)が真実と思えたることを

 発してゆく


 言の葉の威力は

 底知れぬもので

 私を信じ

 私を崇拝した者たちが

 列となり

 この寒空の下でも

 並んで待っている


 ああ

 狂おしい口よ

 呪われし言の葉よ


 人の運命は変えられても

 己の運命は変えられず


 人の人生の先が解っても

 己の人生の先は見えず


 施すだけ施して

 私は何も施されない


 宿命(さだめ)とは

 時には酷で

 淋しいものよ

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