辿り着けない場所/フクスケ
 
それから一年たった

橋から見える
盲腸のような川は
廃虚の「風景」に
なり切れず
何も語らない

どこかで
一人はしゃいでいる
語り過ぎる風景
が過ぎて行く
昼下がり

時間がモノになる
錆びた金網から
抜け落ちた部品を
掌に置く と
少しずつ
時間の記憶が
解凍し始め
かつての
風景が拡がり
私はいなくなる

……
短い川面に映る倉庫
片側の倉庫は
消去された


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