失恋/星月冬灯
 

 どうして人は

 独りになりたいと思った時

 海へといくのだろう


 あの人を忘れたい

 早くあの人のことを


 できるなら

 出逢う前の私に戻って

 この苦しみを知らない

 刻(ころ)に還りたい


 私の恋心を

 この大きな  大きな

 海の奥底に

 閉じ込めることができるなら


 お願い

 今は独りにして

 想い出を引き摺ったまま

 今はまだ

 綺麗に笑えないから


 この闇の色が似合う

 さざめく海辺に居たい


 まだ想いは冷めないから


 どうか冷たい水よ

 白く光る波よ

 この切なる想いを

 淡い泡に変えて

 やがては消えゆく

 儚い幻に変えて


 私は独り佇む


 戻せない時間(とき)を抱いたまま

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