「はじめまして。」と言う前に/もこもこわたあめ
 

「はじめまして。」君の口からその言葉が紡がれるのが

怖かった

君を見つめていた時間がすべて
君を包んでいた空間がすべて
君を中心にしてまわっていた
僕の幻想が

壊れてしまうから

君の瞳の見つめる先に
君の未来の待つ明日に
君の心の矢印が指し示す先に
僕の幻想が

現実になるから

幻想は幻想のままで
現実とは違う空間に漂って
僕の心に

残っていて

君はきれいだしその瞳はすごく澄んでいる
心も体も

僕は君が間違いなく好き

幻想はそのままで
君との別れがこないそのままで

あと、3秒
君とすれ違うまでの少しの

「はじめまして。」は言わないで。

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