ライム/星月冬灯
 

 あなたが好きだったライム

 一口囓(かじ)った

 口の中に広がる酸っぱい味


 こんな真夏の眠れない

 夜には


 あなたの顔が浮ぶ


 あなたの細い長い指が

 握るライム


 あなたが美味しいと

 言ったライム


 でも私には

 少し苦いみたい


 ずっと一緒にいようねって

 約束したのに


 それは儚い  儚い

 夢で終わってしまって

 それは切ない  切ない

 幻で終わってしまって


 星になったあなたを

 想いながら

 私はまた苦い  苦い

 そのライムを囓った


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