一途坂/星月冬灯
 

 私は女

 着物の裾から

 ちらりと白い足


 真夏のじりじりとした

 昼時に

 白い日傘を差して

 坂を上って貴方に逢いにゆく


 どこかで蝉が鳴いて

 私は真新しい

 レースのハンカチで

 頬を伝う汗を拭って

 必死になって坂を上る

 ただ逢いたい一心で


 貴方の顔を

 思い浮かべながら

 ひたすらに上ってゆく

 赦されぬ恋

 いたたまれない感情

 罪の意識を胸に

 それでも逢いたいという

 醜い女の一途な執念


 ゆらゆらと地が揺れる

 真昼の蜃気
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