(とびたつしゅんかんのとりのかたちの)/なを
魚肉ソーセージをわけあってたべる
なまえも知らない
(とびたつしゅんかんのとりのかたちの)
花が
ほら、わたしの枝に
咲いているのをゆめみる
わたしの産んだのではない子供たちの
声は、あの、電線のあたりで消える
いまここにあるものだけでみちあふれて
たりないものが思いつかない
蜜とミルクのようにみちあふれて
かきむしるてのひらからあふれる
黒い髪の流れるようにみちあふれて
たりないのはなに
たりないのはなに
いまここにあるものだけで
みちあふれて
たりないのは
聞こえる?
ほら、
あの、とびたつしゅんかんのとりのかたちの
あんなふうにきれいな花
(初出/「miel」藤坂萌子発行)
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