(とびたつしゅんかんのとりのかたちの)/なを
 
わたしはかつて
とてもあまくて湿った土から生えて
花を咲かせることをゆめみた
猫が足元におしっこして
とてもあたたかくてしあわせだった



ちがう土から生えてそだつわたしたちは
たがいに手もつなげないくらい
とてもとおい国にいる
わたしの足もとのあまい土と
あなたの膝までうめるにがい土と
どちらがきれいな花を咲かせるのでしょうね
と、ささやく
(でんわをするてがみをかくめーるをおくる)

聞こえる?



六月の
雨の日々のはざまの
さらさらさら、と乾いた空気の
階段
そのいちばんしたにそっと座る
片目の潰れた猫とからっぽの駐車場にいて
魚肉
[次のページ]
戻る   Point(17)