小熊とわらし/小川 葉
家を
ぼだされだ
わらしが
わらしでなぐなるまで
泣ぐ声が聞ごえだど
おめは
山がらひろってきた
わらしだがら
ほれ、見れ
この柱さ傷がある
熊の爪あとが
オドは言ったど
なんとしても
この家さ
居でなだば
その熊たおしてこい
おめの
ほんとの親を
アバは泣いだど
そう言われで
家を
ぼだされだ
わらしが山で暮らして
熊のオドどアバを
さがしたど
おめは何しにきた
人のくせに
山さ
熊のオドは
そう言ってすぐに
自分の
わらしだど気づいで
泣いだど
ああ、この背中の
毛が黒くて綺麗なのは
ア
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