真昼の便所/詩集ただよう
―右向けー、右ー、左向けー、左
点けっ放したまま寝てしまっていたテレビの音で俺は起きた。清々しくない朝に髪を撫でつけながら、リモコンでテレビの電源をオフにした。
ベッドに腰を据えたあと、猫背に立ち上がり、食パンを焼く。拘束の時間まで、あと、一時間。
牛乳を唾液代わりにトーストを流し込み、少し覚めたところで、天気予報を観ようと俺はテレビを点けた。ホームビデオの画面はちょうど、小学生が赤組と白組に分かれて騎馬戦をしているところだった。
―きゃあああああああ
悲鳴と画面が地面にぶつかる音で映像は途切れた。男子小学生がプラスチック爆弾で同級生四人を殺した事件の直前の映像だった。
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