夜気/
水口わする
窓際で蛍になった僕
遠い国を見ていたら
線路の音と
サイレンが響く
意識を近付けたら
真っ白な猫がうずくまって
黒い場所を撫でていた
その頭上には
蜘蛛の巣が街灯に照らされていて
蛾が灯りに群がってる
鳴き真似をしたら
彼女はハッとして
一瞬目が合ったら
遠吠えが聞こえて
彼女は逃げた
見上げると
宿主はいなくなって
さらに上には
星の綺麗な
雲がなびく
一部始終を見ていた
静かな気配の
夜だった
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