キャッチ・アンド・リリース/
小川 葉
ただいま
あの渓流沿いの
真夏の道をはしる
僕の源流よ
さようなら
また会う日まで
流れていますように
道を流れる水が
きっと僕が人である
その日まで
こんにちは
いつかの君よ
いつかの僕のように
人を見るような
その目で
釣り上げた岩魚が
人のように
僕を見つめてる
ありがとう
故郷よ
もうそこに
あの頃はないけれど
そこで産まれた
掌から
すり抜けていく
岩魚が帰る淵のあたりに
たしかに僕の
家がある
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