むなしき熱帯/楢山孝介
 

ひからびたからだと
ひらかれたからだとで
だらだらと抱き合ううちに
汗ではないものが流れ出た
かなしくはないのだが
うれしくもないままに
むなしさだけがわいてきた
背中で虫がつぶれていた
わらうことを忘れてしまった
戻る   Point(2)