セピア1/ひとあめ
 
ゆるくあさい呼吸から
ぬけだしたさかなに
わずかに欠けた飴玉をあげる

力強いあまあしにさえずりを
やめなかった鳥のように
目をはらして泣いた
初恋はわかりきるのに
だれかの目ばかり気にしている

茶色のマスカットをあげる
ばら色のクーポン券は
こすった石鹸のように
泡だつのにも時間がかかる

いびきのように深く
呼吸をしてねむる
捨ててもいいと思いながら
わすれてしまってもいいよ、なんて
のらねこがうずくまっている



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