脱走/詩集ただよう
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「 いつか貴方に遇いたい
コウタさんへ 」
コウタさんは青いネコの唯一の飼育員だ。
陽が空に溶け出した。
小学生はサッカーボウルを持っている。
家に帰っているのだろう。
再生紙はコールタールにへばり付いたまま、風にそわそわ騒いでいた。
私はラジオをつけた。
今日の夜、あの人にやっと遇える。
「〜続いて交通情報です。
駒沢通りは現在、轢き逃げされた猫の処理により約2kmの渋滞。
猫には首輪がつけてありますが飼い主はいまだ見つかっておりません。」
我が子を殺した私を飼い主と呼ばないで欲しい。
今日はあの人と、何を食べよう。
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